半導体製造装置や精密検査装置では、ワークの寸法や重量、位置決め精度、設置スペースに応じたステージ選定が求められます。既製品で要求仕様を満たせない場合は、カスタム・特注によって寸法やストローク、駆動方式などが変更可能です。この記事では、対応可能な仕様や既製品との違い、依頼時の設計ポイントを解説します。
位置決めステージのカスタムとは、既製品の一部仕様を変更したり、用途に合わせて専用設計したりすることです。特注も同様に、要求仕様に合わせた製作を指す言葉として使われます。
既製品は、メーカーが用意した標準仕様のことです。一方、カスタムステージは、既製品では対応できない要求に合わせて、取付穴やモーターの変更、複数軸の組み付けなど、仕様の一部変更や専用設計を行います。ただし、変更できる範囲は製品の構造やメーカーの対応内容によって異なります。
機械的な寸法や移動性能に加え、駆動部やセンサ、装置への組み込み方法も変更対象です。ここでは、カスタムできる主な仕様について紹介します。
位置決めステージ本体やワークを載せる天板の大きさのことです。装置内の設置スペースや搭載するワークの寸法に合わせて、天板や本体の寸法を変更できます。薄型化や取付穴の追加も、構造や加工条件に応じて相談できます。
位置決めステージが移動できる距離を示す仕様です。ワークの検査範囲や配置に応じて必要な移動量を設定し、標準品では不足する移動距離への対応を相談できます。移動範囲を広げる場合は、装置内のスペースやステージの構造も考慮しましょう。
指令値と実際に移動した距離との誤差を示す指標です。また、同じ位置への位置決めを繰り返した際の停止位置のばらつきは、繰り返し位置決め精度で評価します。要求される精度に応じて、駆動機構やガイド方式などを含めた仕様の調整を検討します。
可搬質量は、ステージに搭載できるワークや治具などの重量に関する仕様です。許容値は取付方向や動作条件などによって異なります。剛性は、荷重や外力が加わった際の変形のしにくさを示します。搭載するワークの重量や形状に応じて、支持構造や部品構成を検討し、荷重による変形や動作時の振動を抑える設計を目指します。
位置決めステージを動かすための機構や動力源の構成を指します。ステッピングモーターやサーボモーターなど、必要な動作性能や制御方式に応じて駆動部を選定するのが特徴。複数軸の組み合わせやモーターの変更など、装置の動作条件に合わせた構成も相談のうえで決定します。
位置を検出するセンサや読み取り方式は、必要な位置決め性能や制御構成に応じて選定します。要求精度を満たすためには、センサだけでなく、駆動機構や制御系を含めて検討することが重要です。
既製品の仕様で必要な性能と取付条件を満たせる場合は、既製品が有力です。標準仕様では対応できない寸法や性能、装置との接続条件がある場合は、カスタムを検討しましょう。
| 比較項目 | 既製品 | カスタム |
|---|---|---|
| 納期 | 比較的短い | 長くなりやすい |
| コスト | 抑えやすい | 高くなる場合がある |
| 仕様 | 標準仕様 | 用途に合わせて変更可能 |
| サイズ | ラインアップの範囲内 | 装置に合わせて設計可能 |
| 特殊環境 | 対応製品による | 対応可能なメーカーで相談できる |
| 装置への最適化 | 標準仕様に合わせる必要がある | 取付条件などを反映できる |
カスタムステージの設計では、必要な性能だけでなく、実際の動作条件や装置側の制約も設計に反映します。依頼前に条件を具体化しておくことで、仕様の認識違いや設計変更を抑えられるでしょう。
目標位置からのずれに対する許容範囲と、同じ位置への移動を繰り返した際に停止位置がばらつく範囲を、それぞれ数値で設定。また、位置をどの程度細かく検出・制御する必要があるかも明確にします。これらの要求値によって、駆動機構や位置検出方式の選定が変わります。
使用時の温度範囲、真空環境の有無、求められるクリーン度、周囲の磁場の有無などを具体化します。例えば、真空環境では材料からのガス放出、クリーン環境では発塵、磁場のある環境では部品の磁性が設計に影響します。使用環境に応じて材料や潤滑方法、センサの仕様も変わるため、通常環境と異なる条件は具体的に伝えましょう。
ワーク単体ではなく、搭載する治具や部品を含めた総重量を算出します。さらに、ステージの天板に対してワークをどの位置に載せるか、重心が天板の中心からどの程度ずれるかも設計条件です。重量が同じでも、搭載位置によってステージにかかる負荷が変わるため、ワークや治具の寸法、搭載位置が分かる図面も用意します。
目標の移動速度や加速度に加え、1回の動作にかけられる時間と繰り返し動作の頻度を具体化します。例えば、検査装置で複数の測定位置を順に回る場合は、移動距離だけでなく、各位置での停止時間や移動回数も含めます。加速・減速にかかる時間も合わせて、装置のタクトタイムを満たすために必要な動作条件と考えておきましょう。
ステージを設置する面の寸法や取付穴の位置、装置内部で使用できる高さ・幅、配線を通す経路を明確にします。周辺部品との干渉が懸念される場合は、部品の配置やステージの可動範囲もチェックしておきましょう。既存装置に組み込む場合は、取付部分の寸法や周辺部品の配置が分かる図面を用意すると、設計時に必要な変更を把握できます。
希望する納入日、初回に製作する台数、継続生産や追加発注の予定を立てます。カスタムステージは仕様の検討や設計、製作に期間を要するため、希望納期だけでなく、装置への組み込みや評価を始めたい時期も伝えましょう。試作後に性能評価や設計変更を予定している場合は、その期間も含めてスケジュールを共有します。
位置決めステージのカスタムは、既製品では満たせない寸法や性能、装置固有の取付条件に対応する方法です。選定時は、必要な精度やストロークだけでなく、荷重、動作条件、使用環境まで具体化することがポイント。まずは既製品で要求を満たせるかを確認し、不足する条件を明確にしたうえで、メーカーにカスタムの対応範囲や設計・製作期間を相談しましょう。
位置決めステージを動作範囲の小さい順に並べると、ピエゾステージ・ステッピングモータステージ・リニアモータステージの3種類に大きく分類できます。充実したラインナップから選べて、いざというときはカスタム開発もできるおすすめメーカーをご紹介しているので、依頼先選びの参考にしてみてください。
引用:フィジックス テクノロジー公式サイト
(https://physix-tech.com/index.html)
引用:コムス公式サイト
(https://www.coms-corp.co.jp/)
引用:日本トムソン公式サイト
(https://www.ikont.co.jp/)