電子顕微鏡では、試料をナノメートルレベルで移動・固定するため、高精度な位置決めステージが使用されています。観察倍率や測定目的によって求められる性能は異なるため、電子顕微鏡の種類や用途に合わせたステージ選定が重要です。本記事では、電子顕微鏡によく使用される位置決めステージの種類と活用事例を紹介します。
ピエゾステージは、圧電素子の伸縮を利用して試料を微小距離だけ移動させる位置決めステージです。電子顕微鏡では、ナノメートル単位の位置調整が必要となる試料観察や計測で広く利用されています。
ストロークは比較的短い一方で、微細な移動制御に適しており、試料表面の高倍率観察や微細構造解析に活用されています。閉ループ制御に対応した製品では位置センサーによって移動量を補正できるため、温度変化やヒステリシスによる誤差を抑えながら位置決めを行えます。
また、真空環境や低温環境に対応した製品もあり、電子顕微鏡のほか、走査型プローブ顕微鏡や放射光施設などでも採用されています。
リニアステージは、試料をX方向またはY方向へ直線移動させる位置決めステージです。電子顕微鏡では、観察位置の切り替えや試料全体のスキャンなど、比較的長い移動距離が必要な場面で使用されています。
ボールねじ駆動やリニアモーター駆動など複数の駆動方式があり、求められる速度や位置決め精度に応じて選択されています。電子顕微鏡では、高い繰り返し位置決め精度と低振動性能を備えた製品が選定されるケースが一般的です。
XYステージは、X軸とY軸の2方向へ試料を移動できる位置決めステージです。広い観察範囲を連続的に撮影するマッピング測定や、自動観察システムで利用されています。
リニアステージを直交配置して構成する製品が多く、自動画像取得や半導体ウエハ、電子部品、材料試験片などの観察で使用されています。電子顕微鏡の自動測定では、ソフトウェアと連携しながら多数の測定ポイントへ順番に移動する用途にも対応しています。
位置決めステージは"大は小を兼ねない"機器。ピッタリの精度で動く「ちょうどいいステージ」が必要です。だからこそ、豊富なラインナップを持つメーカーに相談するのが一番の近道。ただ、それでも見つからなかった場合に備えて、カスタム開発に取り組む会社を選んでおくとベターです。
このサイトではその両方を兼ね備えたおすすめのメーカーを、ピエゾステージ・ステッピングモータステージ・リニアモータステージという動作範囲の違う3種類ごとに紹介しています。ぜひ導入の参考にしてみてください。
求める精度を実現できる
位置決めステージメーカー
3選をさっそく見る
茨城大学との産学連携では、外国製ポイントカウンターの修理依頼をきっかけとして、X方向のみの移動機構をX・Yの2軸へ拡張した高精度X-Yステージが開発されました。装置は顕微鏡観察で使用することを目的としており、試料位置を細かく制御しながら観察や計測を行える構成となっています。
位置決め機構にはステッピングモーターを採用し、22mm×22mmの可動範囲で0.1mm単位のステップ移動を実現しています。パルス制御によって移動量を管理する方式のため、センサーを使用せずに安定した位置決めを行える点が特徴です。さらに、パソコンと連携するポイントカウンターシステムを組み合わせることで、顕微鏡観察と計測・記録を連続して実施できる構成となっています。
また、偏光顕微鏡の回転ステージへ装着できる薄型設計を採用しており、既存の観察環境へ組み込みやすい仕様となっています。導入後は、試料位置の再現性向上や観察作業の効率化、計測時の手作業削減などにつながった事例として紹介されています。なお、本製品は現在、生産を終了しています。
位置決めステージを動作範囲の小さい順に並べると、ピエゾステージ・ステッピングモータステージ・リニアモータステージの3種類に大きく分類できます。充実したラインナップから選べて、いざというときはカスタム開発もできるおすすめメーカーをご紹介しているので、依頼先選びの参考にしてみてください。
引用:フィジックス テクノロジー公式サイト
(https://physix-tech.com/index.html)
引用:コムス公式サイト
(https://www.coms-corp.co.jp/)
引用:日本トムソン公式サイト
(https://www.ikont.co.jp/)