こちらの記事では、公差と位置決め精度の関係を解説していきます。「公差とは?」という基礎的な部分から、位置決め精度との関連、公差管理の重要性などをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
ある基準の値をもとに、許容される寸法(サイズ)誤差の最大値と最小値の差を「公差」といいます。具体的な例を挙げると、「長さ50mmの円柱を製造する。公差は±0.1mm」とした場合には、「±0.1mm」までの誤差が許容範囲となります。そのため、このケースでは「49.9mm~50.1mm」の長さが許容範囲となり、合格品として認められます。
たとえ図面上で「50mm」と指定し、どれだけ高精度な加工機器を使用しても、すべての製品がピッタリその通りの寸法になることは非常に難しいことです。そのため、製造工程や検査工程においては、設計値に対する誤差を考慮する必要が出てくるというわけです。もしこの誤差を許容しない場合、ほとんどの製品が不合格になってしまいます。それぞれの工程でのばらつきを考慮し、誤差の許容範囲を設定する目的で公差を決めます。
続いて、公差と位置決め精度の関係について見ていきましょう。
「精度」はいくつもの要素が関連してくるため、単一の要素では決まりません。例えば、ネジ穴の位置精度やガイドレールの直線度など、さまざまな要素が積み重なり、精度に影響してきます。この「誤差の積み重ね」は、「公差の累積(tolerance stack-up)」と呼ばれています。
また、それぞれの部品が公差範囲内だったとしても、部品同士を組み立てていく中で位置ずれが発生することもあります。特にサブミクロン精度が要求されるような用途の場合、公差設計を軽視してしまうと致命的な性能低下につながる可能性もあることから、注意が必要です。
位置決めステージには、さまざまな公差が関わっています。
例えば、「直線度」「平面度」はガイドレールやベースプレートの加工精度に関わっており、もし不十分だった場合には真っ直ぐに動かせなくなってしまいます。また、「直角度」「並行度」は、X軸とY軸を組み合わせた多軸ステージにおいて、わずかに角度誤差が発生するだけで大きな位置ずれを引き起こすことになります。
さらに「位置交差」は、穴や軸、面などが図面で定義されている理想的な位置からどの程度ずれても良いかを示したものであるため、取り付け穴や部品同士の位置ずれに関連してきます。またネジやギアの噛み合わせで生じる隙間は、反転した際の誤差につながります。
このような誤差は単独では小さなものだったとしても、ステージ全体の精度を大きく左右します。
もし、公差管理が不十分だった場合には、設計上の性能を発揮できなくなってしまいます。さらに、補正コストが余計にかかってしまう、不合格品が増えることになり、運用上の不具合につながる可能性も考えられます。
例えば、ステージを直線的に動かしているという認識を持っていても、ヨーイングやピッチングが生じることによって測定精度が落ちてしまいます。そうなると多軸ステージにおいて誤差が累積してしまい、結果として目的位置から数ミクロンのズレが発生。制御系において誤差補正が増えるために、応答性の悪化にもつながります。
このような現場でのトラブルや歩留まりの低下を招いてしまわないように、初期設計段階においては公差管理が非常に重要なポイントといえます。
公差管理においては、公差と誤差補正のバランスも考慮する必要があります。
公差を厳しく設定すれば精度は高くなりますが、その分部品加工にかかるコストが上がり、装置全体の価格にも影響が出てきます。逆に公差を緩く設定することでコストを抑えられますが、制御系での補正負担が大きくなるためにシステムが複雑になってしまいます。
以上から、「機械精度でどこまで確保し、どこから制御補正に任せるのか」という設計上の判断が重要であるといえます。ひとつの例として、「ガイドレールにおける直線度は機械加工で確保し、熱膨張によって発生する微小な変化は温度センサを用いた制御補償を用いる」といった形で分担する方法が考えられます。このように、コストと精度のトレードオフについて考慮し、最適なバランスを見つけることが重要であるといえます。
こちらの記事では、位置決めステージと公差設計について解説しました。設計上の性能を発揮する、コストを抑えるといった面からも、公差管理が非常に重要であるといえます。ただし管理を行う上ではむやみに公差を厳しく設定するのではなく、コストと精度のバランスを十分に考慮することが大切です。
位置決めステージを動作範囲の小さい順に並べると、ピエゾステージ・ステッピングモータステージ・リニアモータステージの3種類に大きく分類できます。充実したラインナップから選べて、いざというときはカスタム開発もできるおすすめメーカーをご紹介しているので、依頼先選びの参考にしてみてください。
引用:フィジックス テクノロジー公式サイト
(https://physix-tech.com/index.html)
引用:コムス公式サイト
(https://www.coms-corp.co.jp/)
引用:日本トムソン公式サイト
(https://www.ikont.co.jp/)